GENROQ 2023年12月号

ロベルタが描く足まわりの理想像がマセラティの新世界を際立たせる

 ロベルタファクトリーには、毎日のように激レアなスーパースポーツがやってくる。それだけの信頼と実績があり、技術力に長けている証だ。最近ではマセラティ MC20 チェロの開発が佳境に入った。MC20のスパイダー版であり、日本への供給台数はまだ少ない。にもかかわらず、ロベルタはMC20 チェロ用にリフターシステムを専用開発した。持ちうる性能を一切犠牲にせず、クルマ側の加工もしない。それでいて地を這うようなローフォルムと、ボタンひとつで瞬時に車高を上げる機能を備える。そのためには専用設計、開発が絶対だという。

 実際、ポンプやエアタンクなどはリヤバンパー裏など限られたスペースの中に、うまくレイアウトされている。ただでさえ限られるラゲッジスペースをまったく犠牲にしない上に、重量増も最低限に抑えられる。これならMC20 チェロの爽快感を味わいながら、デイリーユースに持ち出してもなんら気苦労はない。

 また、MC2 チェロに関しては、ロベルタリフターシステムとは別にオリジナルの足まわりを開発した。スプリングの自由長やレートを吟味したローダウンスプリングと、そしてロワシート式の車高調整キットだ。一部のスーパースポーツには純正採用されるシステムだが、それらの多くはアルミ製のため、車高調整を繰り返すとねじ山が潰れてしまうことがある。しかし、ロベルタのロアシートはステンレスとジュラルミンとで構成されるので耐久性に優れる。これをロベルタリフターシステムと共存させてもいいし、単独で取り入れてもいい。MC20 チェロのアピアランスに加え、その運動性能に可能性を見出したロベルタならではのスペシャルアイテムだ。数などそう多くは出回らずとも、気に入った車種であったり、ユーザーからの要望ならば、臆せず開発に没頭して“イイモノ”を創り上げる。これこそが、日本全国のスーパーカーユーザーから支持される理由だと思う。

GENROQ 2023年12月号より

掲載メディア情報

媒体名:GENROQ 2023年12月号