GENROQ 2022年5月号

性能を損なうことなくV.I.Pから熱い支持を受け続ける

 普段は地べたを這うようなローフォルムで持ち前の動力性能を楽しみ、コンビニや駐車場に頻出する段差があれば、瞬時に車高を上げて乗り越える。ロベルタ本体はスーパースポーツを日常に解放した画期的な製品だ。

 例えばレクサスLFAのような稀有なモデル。レクサス初のスーパースポーツとして2010年からデリバリーされたが、総生産台数は500台と言われる。まるで重要文化財のような存在を前にして、普段使いをするのは躊躇われるのが自然な感覚だ。しかし、持ちうる潜在能力を解放させることもまた正義で、だからこそLFAにはロベルタ本体が求められた。

 事実、ロベルタは過去に何台ものLFAを扱ってきた。本体を組み込んでも適正なストロークが維持されるために走行性能をスポイルすることがない。5年間はメンテナンスフリーであるほか保証もつく。しかし10年近く使い続けても、不具合の出る事例はなかったという。

 こうした希少なスーパースポーツによってその存在価値と実性能が証明されているのだから、それをよりデイリーユースで取り入れるというのもまた正義だと思う。レクサス繋がりで言えば、その後に登場したLC500が挙げられる。LFAほどのスーパースポーツではない、ラグジュアリークーペ(コンバーチブル)という位置付けだが、だからこそ何処へでも連れ出すような存在として付き合いたい。しかし流麗なボディにしてフロントノーズも長く、それなりに気を遣うクルマであることも事実だ。こうした際にもロベルタ本体が役立つ。

 このレクサスの事例に代表されるように、ロベルタ本体はいかなるクルマにとっても鬼に金棒となる。今回、取り上げた488GTBのように、フェラーリ界隈にとってはもはや定番アイテムとなった。この場合、フロントばかりかリヤにまでロベルタ本体が設定されるのがいい。タイヤ留めすら気を遣うほど、前後とも車高が落とされる設計にあって、前後の車高を一時的に上げるだけで、その気苦労は激減する。歴代フェラーリを数多く手がけてきたロベルタだけに、走行性能を底上げする足まわりの設定、純正のインテリアの中にさりげなくシステムを組み込む設計手法など、ノウハウは数知れずある。

 最近では2代目ホンダNSXも手がけた。ホンダによるスーパースポーツへの挑戦だったが、その世界観やメカニズムを紐解くと、硬派なコンペモデルというよりは、普段使いを許容するモデルである。だからこそ、先に触れたLC500と同じようにロベルタ本体を組み込んで、気兼ねなくストリートへ連れ出したい。もちろん、アクティブダンパーシステムや、スポーツハイブリッドSH-AWDによる駆動力配分システムとの共存共栄は図られる。我慢なくストリートからサーキットまで楽しめる存在だ。

 今回の車種以外であっても、ロベルタの実績は数限りない。たとえ採用実績がなくても積極的な開発を続けていく姿勢を持つので、どんな車種であっても相談してみたい。

GENROQ 2022年5月号より

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