GENROQ 2023年10月号

走りを究めようとする人へ 我慢を排除するリフターシステム

 ヴァイザッハのポルシェモータースポーツ部門が積極的に開発に携わり、専用のパワーユニットとサスペンション、そしてエアロダイナミクス機構が与えられた718ケイマンGT4は、まぎれもなく走りのスポーツカーだ。己の腕を磨くため、コンマ1秒を詰めるため、傷や汚れなどを厭わずコースを駆け抜けるのが正しい使い方かもしれない。加えて自走でサーキットまで乗りつけられるのも大きな価値である。

 コースの縁石で下回りをヒットしても勲章だと誇れるが、しかしコンビニや時間貸駐車場にある段差で傷をつけるわけにはいかない。というのもクルマ好き、走り好きの性だろう。そこでロベルタ・リフターシステムである。ボタン一つで瞬時に車高を上げれば、そうした障壁を楽々クリアできるからだ。

 ケイマンGT4に相応しいと思えるのは、固有の走りを犠牲にしないこと。サスペンションのアッパー部分にシリンダーカップを組み込んでも、それ自体がほぼ剛体でサスペンション性能に影響を与えず、きっちりと足回りのセッティングができる。高負荷をかけてもロベルタ本体は剛体でヨレず、サーキットなどの前回走行にも耐えうる機構を持つ、ロベルタファクトリーでは今回のように純正サスペンションとの組み合わせに始まり、己の理想像を詰め込んだ車高調に対しても相談に乗ってくれる。ユーザー自らが設定したサスペンションに対しても、真摯に受け止め寄り添ってくれる。まるで純正部品かと思えるような、違和感のない綺麗な取り付けもまた魅力だ。

 ポンプやエアタンクなどのユニットは軽量小型設計だから、重量増も最小限に抑えられる。つまりケイマンGT4の走りをなんら犠牲にしないまま、デイリーユースの利便性だけを向上させるアイテムである。これなら、まずはロベルタリフターシステムを組み込んで日常の我慢を排除してから、己の腕を鍛えるためにサーキットへと乗りつけたい。

 フロントのラゲッジスペースにポンプやエアタンクなどのユニットが収まるものの、そうとは気づかないほどノーマル然とした仕上がり。ユニットはダッシュボード下に取り付けるメインコントロールユニットによって管理され、ドライバーは手元にある専用スイッチで操作する。コンソールに取り付けたり、キーと一緒に持ち歩くことも可能だ。

 スイッチひとつで瞬時に車高が上がる。フロントオーバーハングが高く、鼻先に気を遣うケイマンGT4にとっては格好のアイテムだ。車高を上げたままでも走ることができる。

GENROQ 2023年10月号より

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媒体名:GENROQ 2023年10月号