先駆者にして定番へ———日常と非日常を兼ね備えた最高峰のリフターシステム
地べたを這うようなローフォルムで運動性能を楽しみ、コンビニなどの式日入る際に頻出する段差や、あるいは駐車場のスロープなどに遭遇したら、スイッチひとつで瞬時に車高を上げて乗り越える。ロベルタリフターシステムはスーパースポーツカーを日常に開放した画期的な製品だ。重要文化財級のスーパースポーツに取り付けて普段使いしたり、カスタムの出発点として取り入れる例も後を絶たない。
今回、ロベルタファクトリーに持ち込まれたAMG GTブラックシリーズは、その双方を含む一例だった。総生産台数は約1700台で、日本への割り当ては53台のみという希少車である。それを大切に労わりながらもきっちり乗り倒すためには、ロベルタリフターシステムが必須だと捉えた。しかもこの個体は、インストールしたのち、ホイールやボディパーツなどをカスタムしていく計画があるという。カスタムの可能性をより広げてくれるという意味でも大きな効果がある。
ロベルタリフターシステムは、サスペンションのアッパー部分に備わるロベルタ本体が稼働することによって車高を変化させる。シリンダーカップは社内に備わるボックスユニット(コンプレッサーとエアタンク)で駆動する。稼働をつかさどるのはメインコントロールモジュールであり、ユーザーは李門紺スイッチを押すだけと簡単だ。装着しても固有の運動性能をスポイルすることはない。レーシングカー譲りのダブルウィッシュボーン式サスペンションを持つAMG GTブラックシリーズとの相性も抜群だ。ボックスユニットは純正工具などの収納スペースに設置されるので、ラゲッジルームだって犠牲にならない。
開発現場を兼ねるロベルタファクトリーによる、卓越したインストール術も見逃せない。製品自体はおろか、新旧問わずあらゆるハイエンドカー、スーパースポーツを熟知した熟練マイスターが丁寧に取り付けてくれる。ボックスユニットやスイッチ類の取り付けも惚れ惚れするほど美しい。ボディや内装に手を加える必要がないのは、スーパースポーツカーにとって嬉しい部分だ。
ロベルタリフターシステムは、装着してから5年間はメンテナンスフリーで使える上に、本体には10年保証(消耗品は5年)がつく。それだけ品質には自信が宿るからであり、実際、巷には10年以上、使い続けている装着車がたくさんある。もはや長年の歴史と実績によって、ロベルタの品質と信頼耐久性、なにより優れた性能は保証されている。
その性能、そして長期的な信頼耐久性は、まるでメルセデス・ベンツと符合する。メルセデスもまた持ち前の高性能と信頼耐久性を武器に、世界の王道として進化してきた。なお、メルセデス・ベンツ170シリーズは、量産車としては世界で初めて四輪独立懸架式のサスペンションを採用したモデルだ。今日の常識に先鞭を付けたような存在だと言える。今回、時間軸を超えたこの2台が並んだ光景を見たとき、ロベルタリフターシステムを装着したAMG GTブラックシリーズもまた、時代を切り開いた170シリーズのようなオーラが宿るように思えた。
GENROQ 2023年5月号より
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媒体名:GENROQ 2023年5月号